Simply
平穏に過ごせればいい、そんな願いもむなしく厄介ごとが一つ


城田先生がアタシに好意を寄せてくれている事を隠さない


アタシは職員室を出て廊下を歩きながらため息をついた


学校まで電車通勤したのは最初の一日だけ

それからはいつもの車通勤


駐車場へと向かいながら車のキーを指先でくるくるまわしていると、頭の中もぐるぐるといろんな思いがめぐる



…まだ実習は続くし

極端な拒絶もできなくて

はっきり言って…城田先生の好意はちょっと迷惑


「真木先生、一週間分の日誌まとめて明日の放課後体育教官室に持ってきてください」


城田先生が帰る間際に必要以上に近い距離でそう言った


悪い人じゃないんだろうけど……

なんだか言動の中に見え隠れする“下心”がどうも受け付けない

偏見…かな?



「真木センセー、ばいば~い」



とても先生に対する口調とは思えない軽さで男子がアタシに手を振る

うーーーん、ばいばいじゃなくって、“さようなら”って言ってもらえるとありがたいんだけど


アタシは苦笑いしつつ「さようなら」と手を振った



今日は久々に夜のバイトを入れている


腕時計に目をやると少し足を速める


車の方を見ると



新田くんの姿が見えた

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