Simply
アタシは再び車内の時計を確認した


「明日起きれるかな??」


独り言のように呟く

チラッと横を見ると興味なさそうな顔


目的の住所が近づいてきて「あの、もし近道とかあれば道案内してください」と告げた


「そこ左折」


意外と低い声が響く


指図されるとおりに運転してたどりついたのは豪邸の前だった

車内からその立派な門構えを見上げる


「豪邸すぎる……」

思わず口から出た


「あんたに関係ないだろ、とりあえず礼をいう」


そういうとサッサと車から降りてしまった

乱暴に閉められるドア


なんちゅう無愛想な……


アタシは眉間にしわを寄せると、ボーイさんが家に入るのも見届けずに車を出した

でっかい表札がチラッと見える

そこには「新田」と濃い黒の行書で書いてあった

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