Simply
「え?チュー??

…していいの??」


なんて声が聞こえてくる


アタシが更に顔を前に出すと、誰かの手がアタシの肩を引き戻した


「マキ、ハウス!」

片眉をあげたママがアタシのおでこを押す

ちづるさんはお茶を差し出しながら、お客さんに呆れた顔をして見せた

「ちょっとアルコールが入ると、なんでか淫乱キャラに変身するのよね」


ママが手をあげてかずまを呼ぶ

「危なっかしくて見てらんないから、飲まさないんだけど…」

といいながら、かずまに使用済みの灰皿を手渡した

「マキに酒出した?」

とついでに聞いている

「すいません、こうなることを知らなかったんで」

かずまはものすごく小さな声で答えていた


「責任とって、あんたがマキを送って帰ってよ」


ママの言葉にかずまはアタシをにらむように一瞥するとうなずいた



店が終わると、アタシはくつをぬいで椅子の上に三角座りしてひざを抱えた


片づけしているかずま待ち


「ボーイさん、おうちまで送ってくれるんだよね?」


とその姿に声をかけても、無視されてる

ママはセカンドバッグ片手にやってきたオーナーと何か話していて、ちづるさんは財布の中身を確認しながら他の女の子とホストクラブに行く算段をしている


「送ってくれないなら……ちづるさんと一緒にいこっかナァ…」


ちづるさんがアタシのセリフにこっちを向くと「今日はダメ」と無下に拒否された


アタシのバッグを持ったかずまがアタシの前に立って、アタシは座ったまま手を差し出した

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