Sweet silent night
「救ってくれてありがとう。
聖さんが話しかけてくれなかったら、ホントに今日は最悪なイブになるとこだった」
「話ならきくけど?」
空になった私のグラスにシャンパンを注ぎながら彼が言った。
「せっかくのイブの夜なのに、こんなにきれいな人が辛い思いをするなんてあんまりすぎるでしょ?」
彼があまりにも真剣にそんなことを言うから、あっけにとられてしまった。
「聖さん、いちいち言うことがクサいんですけど」
「そうかな、狙ってないんだけど」
そう言うと彼は照れ臭そうに笑った。
…恥ずかしがるなら言わないでよね。
こっちまで照れちゃうじゃない。
気恥ずかしさが伝わらないように、注がれたワインをすぐに一口飲み込んでから口を開いた。
「いや、大丈夫。
あんまり今日のことは思い出したくないから。
その代わり…」
隣に座る彼の太ももにそっと手を乗せてやった。
「聖さんが忘れさせて」
…我ながらベタなやり方。