Sweet silent night
プライベートルームを出て階段を降り、店内を通り抜けて外に出る。
「…あ、すごい」
ドアを開けて驚いた。
粉雪だ。
昨日の雨が雪に変わったのか。
「ホワイトクリスマスってやつだね。
こんなの生まれて初めて」
声がするほうを見ると、聖さんが目を輝かせて空を見上げていた。
「こういうロマンティックなの、好きなの?」
「うん、テンション上がらない?」
手を広げて降る雪をもてあそびながら彼が答えた。
「デートの予定でも入ってれば飛んで喜んだけど…相手が聖さんじゃなぁ」
「…悪かったですね。
さあ、そろそろ行こうか。意外と時間がないから」
鍵を開けて彼に返し、助手席に腰をおろした。
時計の針は正午をすこし回ったところだ。