Sweet silent night


にっこり微笑んで聖さんがあたしに最後のアシスタントの仕事を頼んだ。


「あかりちゃん。
二人の上着、用意してもらえる?」


「あ、はい」


急いでハンガーからロングコートを取って涼子さんに着せたとき、ふっと頬にキスをされた。


さっきのあたしだったらたぶん動揺でかたまってしまっただろうけど、いまのあたしは純粋に微笑むことができた。


そして耳元でこんなことを囁かれた。


「あたしね、聖が話してるの聞いてもう一回かおるとやり直すのも悪くないなって思ったの。
ときめきを思い出させてくれてありがとう、あかりちゃん」


「あたしは何もしてないですよ。
こちらこそありがとうございました」



そして次はかおるさんにトレンチコートを着せる。

服はやっぱり男性ものなのかなんてちゃっかり確認してしまった。

「涼子と二人で話す機会を作ってくれてありがとう、あかりちゃん」


彼もあたしにひそひそとそんなことを耳打ちしてくるから、思わず口元がにやけてしまった。


「ぜひ楽しんできてください」


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