Sweet silent night
「あのね…さっき頭撫でたときに気づいたんだけどさ、いつの間にかあかりちゃんの心の中が見えなくなってたんだ。
それどころか自分の気持ちすら全然分かんないよ、ただあかりちゃんのことがすごく気になって仕方ないってことしか分からない」
…それって
「それって…普通のことだよ。
恋をしたら誰でも自分がわからなくなっちゃうし、ましてや相手が何思ってるかなんてわかっちゃったら恋なんて成り立たないもの。
相手のことを知りたいって思うのは好きのはじまりで、ちゃんと向き合っていいとこも悪いとこも知っていけるのが交際なんだとあたしは思うけどな。
だから聖さんが抱いてるのは普通の気持ちだよ。
それに…私も今同じ気持ちでいるはず」
「そっか…相手がわからないってすごく心細いんだね、知らなかった。
だけどすごく面白い」
「…だからね、言葉が必要なんだよ、思ったことは何だかんだちゃんと言ってくれなきゃわからない」
抱き締める手を緩めて聖さんが私の顔をのぞき込んだ。
「ねぇ…キスしたい」
潤んだ目をされたら理性が保てなくなりそうだった。
…うん、私も
そう言い終わる前に彼の唇があたしの唇をふさいだ。
ただ触れただけなのになにも考えられなくなるくらいの刺激。