Sweet silent night
オーディオの音量を調整した後に、コートを脱ぎながら彼がカウンターの中に入ってきた。
白いシャツのボタンは上から2つ目まで開けられ、そこからはきれいな鎖骨が時々見える。
「何かご注文は」
そう言われて困ってしまった。
カクテルなんて詳しくないしなぁ…
そんな心の声が彼に伝わったのだろうか。
「よければ僕に任せてもらえます?」
よし、という言葉が聞こえてきそうなほどに得意気な顔で言ってきた。
「じゃあぜひお願いします」
「かしこまりました」
私が安堵したのが伝わったのだろうか。
彼の口角が少しだけ上がったのがわかった。