【短編集】砂糖をかけたみたいに








『拝啓



先日のパーティーにお越しくださいまして心より御礼申し上げます。

アリスト公爵家の皆様にはこれからも国を支える立場として共に歩んでいけることを期待しております。

さて、話は変わりますが、2年前にお亡くなりになられていたアリスト公爵家令嬢シェリン様が御存命との知らせを受け、真偽を確かめる為本日訪問を致します。



敬具』


そしてもう1枚。

こちらは小さい紙にたった一言。




『2年前の事故は本当に"偶然"の出来事だったのでしょうか?』




「え…?」

手紙を持つ手が震え、瞳は揺れ、掠れた声しか出ませんでした。

彼女が動揺している間に継母は彼女の黒い髪を掴みどこかへ向かいます。

「いっ…痛いですやめてくださいお継母さま…!」

「お継母さまだなんて呼ぶんじゃないよ、メス猫が!」

継母は小間使いを呼んでシェリンを縛り上げるように命令しました。

逆らえない小間使いの少年によって両手両足を縛られ、さるぐつわを噛まされ、クローゼットに押し込められてしまいました。

がたがたとドアに当たってみてもびくともしません。

外から鍵をかけられてしまったようです。

「王子が帰るまでじっとしてな。助けを呼ぼうだなんて無駄だからね」






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