【短編集】砂糖をかけたみたいに












暗くて狭いクローゼットの中にいるシェリンは恐怖に身を竦めていました。

誰か、誰か、誰か…!

声を出すことが出来ないシェリンは心の中で祈ることしか出来ませんでした。








そのいくらか後。

人々の足音と継母のへつらった声、男性の落ち着いた声が聞こえてきました。

王子が訪ねてきたのだとわかりました。

「シェリンは本当に亡くなりました。

いったいどこにシェリンが今もなお生きているという証拠があるのでしょう?」

シェリンには継母の声と、深い溜息がわずかながら聞こえました。









「証拠ならこれがあります」

王子が取り出したのはシェリンが置いてきてしまったガラスの靴でした。

「これは、彼女用にオーダーメイドされたもの。

これを履いた彼女を他でもない私が見たのです」

その言葉を聞いた継母はクスリとほくそ笑みました。

そして言いました。

「この靴を誰か…そう、例えば私の娘が履ければ証拠として使えなくなりますわね?」

ありえないと王子は呟きました。

「試してみませんか?」

そうして継母は長女を呼び寄せました。







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