【短編集】砂糖をかけたみたいに
「・・・ッリン!シェリン!!」
目を開けると。
「ルギオン・・・?うぇ、ゆ、らさ、ないで」
「あ、悪い」
シェリンの肩を掴んで前後に揺らしていたのはルギオンでした。
周りを見渡すとそこはいつもの見慣れた自分の部屋でした。
「マジで心臓壊れるかと思った・・・。
お前のところの小間使いに呼ばれて来てみりゃクローゼットの中に意識不明の奴がいるんだぜ!?
こっちの身にもなりやがれっての」
「う・・・ごめん」
「で、何?
王城の馬車があったけど昨日の話の続きか?」
シェリンが今日起きたことについて洗いざらい説明すると、ルギオンは眉根をぎゅっと寄せて黙り込んでしまいました。
「シェリン・・・お前、王子のこと好きなのか?」
しばらくの沈黙の後、ポツリとルギオンは問いかけました。
「・・・・・・・・・今更よ」
絞りだした声は彼女のものとは思えない程寂しそうなものでした。
がたっ
いきなり立ち上がったルギオンはシェリンをじっと見据えました。
彼の目は何かしらの決意に煌めいていて、彼女は釘付けになっていました。
そのままふ、と笑みをこぼして彼は去っていってしまいました。
.