【短編集】砂糖をかけたみたいに









「さて、行こう」

シェリンを優しくエスコートして馬車に乗せ自分も乗ると別れを惜しむ間もなく馬車を発車させました。

シェリンは慌てて後ろを見ますが2人は静かに見送るばかり。

「王子!」

「ん?どこか行きたい所でもある?」

「そうじゃなくて!んと……」

いきなりもじもじし始めたシェリンに王子は首を傾げるばかりです。

「え、と…その……本当に結婚するの?」

頬を真っ赤に染め、語尾を小さくすぼめながら聞く彼女に彼は柔らかい笑みをこぼしました。








「舞踏会の日に言ったことは全部本当のこと。

僕は君と結婚したい。

もう、僕のわからないところへ行かないで…」



彼女はこくりと頷きました。














「愛してる、僕のシンデレラ」

ガラスの靴の運命なんか無視したって。




end.
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