【短編集】砂糖をかけたみたいに
ため息でちゃうね
「受験お疲れさま」なんて人畜無害な笑顔で言う彼の本性なんてとっくに知ってる。
あたしはもともとそんなに頭良くないのに高校進学の時も有無を言わせず進学校に受験させたのはこの人だ。
そしてあたしの頭を1ランクも2ランクも上回る大学を受けるようゴリ押ししてきたのも同じ人。
なんなんだろう、この人。本気で鬼だと思う。言ったら殺されるけどさ。
「まあまあってところか。受かるだろ」
じゃなきゃ許さねぇけどな、とか言われてもそれって時の運…。
ええ、運まかせだよ!まぐれ以外に受かる方法なんかないっての!
しかめた眉間を指でぐりぐり押してくるヤツは、うん、ドSだ。
「じゃあ、オアズケしてた分今日の夜は頑張ろうか」
「合格、だな。頑張ったじゃん」
合格通知がきて見た瞬間すぐ一人暮らしの彼の元に行った。
わしゃわしゃと遠慮なく人の頭を撫でまわす彼は珍しく含みのない笑顔で。
くっそ、それに弱いんだってば!
「ま、これからはまた同じ大学だな。楽しくなりそうだ」
……あたしはいじり倒されるフラグがたったけどね。
ほんと、惚れた弱みって大きい。
end.