【短編集】砂糖をかけたみたいに
「奏?本当にどうした?なんかいつもと違うぞ?」
「・・・疲れただけよ」
なぁ、俺わかるんだけど。
いつも見てるから、元気ないのくらい。
そう言ったら驚いた顔をこっちに向けた。
でもすぐに机に顔を伏せた。
「なぁ、わけ言ってみろよ?意外とすっきりするかもしんねーよ?」
軽い口調で、でも優しく。
俺は問いただした。
「大丈夫だって、紅。心配する必要なんてどこにもない」
顔を上げた奏はいつもと同じ声でそう言ったけど、顔は逆光で見えなかった。
「信用しやがれ。他言無用にしてやるから」
彼女の肩がびくりと震えた。
当然か、抱き締めちゃったから。
「顔も見えねぇし、これならいいだろ」
しばらくは呆然としてたみたいだけど、暴れ始めた。
猛獣ー!離せー!!とか言ってるけど、離すつもりはさらさらない。
「猛獣って酷くない?俺人間ー」
つかこんなキャラでしたっけ?と冗談交じりに呟くと、う、と動きを止めた。
なんか新鮮。
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