【短編集】砂糖をかけたみたいに
チャイムが鳴った。
あれ、もう放課後?
時計を見たらもうここにきて30分も経っていた。
がちゃ、ガラッ
あれ?こんな時間にも来るんだ。
「おい、またサボりか?」
心底面白そうに彼が言ってくる。
けどもう今日はダメだ。言い返す元気がない。
「そう・・・。ごめん、帰る」
「ふぅん。珍しい」
彼はいつも通りだった。
「んじゃあね」
扉を開けて出ようとした時。
「お大事になー」
彼っぽいのかそうじゃないのか見当つかないけど、
確かに優しい言葉。
なるほど、そりゃ惚れるよ。
あたしみたいに。
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