【短編集】砂糖をかけたみたいに
手首を引っ張られながらさっき通った道を引き返す。
心なしか握っている手に力が入っているみたいで少し痛い。
「亮臣くん!なんであそこに居るのわかったの!?」
「物理室から見えた」
さっきよりはましだけどいつもよりもちょっと低い声。
「走った・・・?」
「・・・・・・」
「助けてくれてありがと」
「・・・あぁ」
素直に嬉しい。
前に居る彼に見えるわけないんだけど、それでも赤らむ頬を俯いて隠した。
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