【短編集】砂糖をかけたみたいに
着いた先は物理室。
手を掴んだまま彼は机に軽く腰掛けた。
「なんであんなヤツと一緒にいた?知り合いなんかじゃないだろう?」
「ここがばれた」
「・・・口止めしとかねぇと」
なんか後ろに黒いオーラがある気がするけど
「殺してあげないでね・・・?」
「殺ったりはしねぇよ。殺ったりはな」
なんで2回繰り返したのさ・・・。
ふと顔を上げた彼。
視線が合わさる。
と思ったらいきなり引き寄せられた。
「・・・無事だ・・・」
きっと聞こえないように言ったんだろうけど微かに聞こえた言葉。
安堵感が滲んでいて・・・ダメだ、期待しそう。
「名前、呼べ」
「・・・は?」
「早く」
「亮臣くん」
―――強く、強く抱きしめられた。
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