【短編集】砂糖をかけたみたいに
水溜り
始まりは片桐の一言。
「俺、今日傘持ってねぇんだよなー」
確かに窓の外を見れば激しく地面を叩く雨。
でも、こっちをチラチラ見ながらそれ言う必要なくない?
「残念だね。明日風邪引かないように頑張って!」
爽やか笑顔で応援。
さて、部活終わったし帰ろう。
鞄を持って美術室から出ようとしたら、手を掴まれた。
「おいおいおい!こんなに可哀相な俺を置いてくのか!?良心とか痛むだろ!?なぁ香西!!」
「悪いけど、可哀相なの頭だけだし。アンタ馬鹿だし風邪引かないでしょ」
「なっ!?相変わらず酷いな!!そんなんだからモテないんだぞー」
「余計なお世話!」
ほんとに・・・片桐だけには心配されたくないから!
人の気持ちも知らないで。
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