【短編集】砂糖をかけたみたいに
「傘余分に持ってるヤツとかいねぇのかなー?」
結局なぜか玄関まで着いてきた片桐。
言葉とは裏腹に人探しすらしてないし。
携帯いじってるヤツは放置して。
あたしはローファーを履いて自分の水玉の傘を探す。
・・・が、見当たらない。
なんで!?
「なにしてんの?」
きょろきょろ探し回ってたあたしの後ろから掛かる声。
ばっと振り返ると水玉の傘を片手に持ったしたり顔。
「なんでアンタがもってんのよ!?」
「いいものあるじゃん、香西さーん?」
にっこり。
この顔と一緒に居るときはロクなことがない。
「入れてって?」
じゃなきゃ返してあげないよ。と。
・・・悪魔だよコイツ。知ってたけど。
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