【短編集】砂糖をかけたみたいに
美術室で
「花村、日誌」
そう言いながら歌鈴に日誌を手渡す。
ぎゅっと両手で抱きかかえるようにしながらそそくさと友人の方へかけていく彼女。
横からクラスの男子に呼び止められて楽しそうに話す姿に舌打ちをしそうになる。
あれは、俺のもんなのに。
俺が告白したのは3ヶ月前。
そのとき歌鈴にこう言われた。
「できれば…付き合ってるの周りに言って欲しくないの」
恥ずかしがり屋なのは知ってたから頷いた。
でも…はっきり言ってこの状況はきつい。
歌鈴、モテてるんだよ…。
まぁ、そういうわけで教室では『花村』と呼んでるし、あんまり話しかけない。
俺としては早く「俺の」って言いたいわけだけど。
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