【短編集】砂糖をかけたみたいに







「歌鈴、今日カラオケ行かない?」

「お、来るの花村!?」

「マジ!?」

歌鈴の友達の女がそう誘った瞬間、沸き立つクラス。

おいてめぇら話かけんなよ!?

鼻息荒くしてんじゃねぇ!!

歌鈴引いてるじゃねぇかよ!!

歌鈴は一生懸命断ってるけどおどおどしているから相手には聞こえてないみたいだ。







「花村、放課後日直は残れって先生言ってたよ」

みんなにも聞こえるように大きめな声で言う。

俺らの担任は熱血すぎてしつこい先生だから呼び出されたら逃げられないとみんなわかってる。

しぶしぶ諦めたようだ。







「石崎くん、いつ先生言ってたの?」

ちっちゃく首を傾げながら聞いてくる。

「嘘だよ、嘘。呼ばれてないから安心しな」

え、と声を漏らして目を見開く。

でもすぐに笑ってありがとうだなんて言ってくれるから。

俺の心臓持たないっての。





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