【短編集】砂糖をかけたみたいに







「歌鈴ちゃん、なんで俺のこと見てくれないの?」

「え?あ、あの、山崎先輩…?」

「付き合ってる奴居ないんでしょ?…俺、前から歌鈴ちゃんのこと好きなんだ」

美術室のドアから見えたのは、

壁に追い詰められた歌鈴と、

覆い被さるように彼女を囲む、男。








ちらりと男がこちらに目を向けた。

ふっと口元を歪ませた男は歌鈴に視線を戻し、言う。

「このまま、キスしちゃおうか」

ふざけんなよ、てめぇ!







ぐっと手に力が入る。



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