【短編集】砂糖をかけたみたいに
バキッ
…いやいや、俺じゃねぇよ。
驚いて見ること数秒。
情けないことに俺はその場から動けなくなった。
歌鈴が手に持っていたスケッチブックで山崎の顔をたたいた。
山崎涙目になってんじゃん。
「なっ…!?なにすんだよ!?」
「キス、なんてしません!!嫌だ…!やだ!ショウキじゃなきゃ…」
歌鈴も目いっぱいに涙を浮かべている。
俺、じゃ、なきゃ…?
「歌鈴!!」
本格的に泣き始めた彼女を思いっきり抱きしめた。
「しょ、ショウキ!?」
「がんばったな、歌鈴」
笑んでから、振り向く。
絶対零度の視線を山崎にくれてやるために。
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