【短編集】砂糖をかけたみたいに
真夜中のベルが合図
昔々のお話。
この国一番の貴族、アルスト家にはそれはそれは美しいご令嬢がおりました。
母親は早くに亡くなりましたが、ふたり仲睦まじく暮らしていました。
しかし、その幸せも数年のこと。
ある日、父親は再婚し、継母とその娘2人と一緒に暮らすことになりました。
表向きは仲の良い家族に見えました。
が、令嬢はあることを知っていました。
継母とその娘たちは父親の遺産目当てに結婚したことを。
彼女は一生懸命に父親を説得しました。
ですが父親は継母のことを大変気に入っていて、娘の言葉を信じませんでした。
そして悲劇は起こったのです。
父親が仕事で遠くの町に行くとき、その行きの道のこと。
何故か馬車の車輪が外れ、父親は亡くなってしまったのです。
表向きにはその令嬢も死んだと広められました。
ですが令嬢はその時部屋に閉じ込められていました。
継母たちはやりたい放題に振る舞い始めました。
令嬢は一夜にして召使のようになってしまったのです…。
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