Voice〜彼の声〜
二人で教室の前を通ろうとすると美嘉が創の机に何か書いていた。
「何してんだ?」
「……さぁ?」
美嘉がいなくなるのを待って教室に入る。
「はっ、何これ」
俺は思わず笑ってしまった。
「…俺への告白でしょ?」
創はいつもと同じテンションで言いつつも、嬉しそうな表情をしていた。
そして創は美嘉の机に返事を書いた。
「"知ってる"って…そんなんで伝わるか?」
心配する俺に反して自信ありげな創。
「…さぁ?」
でもどこか不安な声だった。
俺たちは学校を後にした。
夏休みに入って創に会った時に美嘉と付き合い始めたことを聞かされた。
なんだか安心した気分になった。
新学期が始まり、朝、学校に着くと創と美嘉が一緒に下駄箱にいるのを見た。
俺はその姿を見て、何故だか嬉しさが込み上げてくるのを感じた。