Voice〜彼の声〜
「美嘉」
コーヒーカップに並ぼうとする私は、創ちゃんに腕を掴まれた。
「こっち」
手を引っ張られ人混みから抜ける。
「創ちゃん?」
「…あいつら二人にさせよ」
そう言ってベンチに座る。
「疲れた?」
「…いや」
「二人、上手くいくかな?」
「…どうだろうな」
そう言うと創ちゃんは立ち上がり、私は創ちゃんを見上げる。
「何、乗りたい?」
「メリーゴーランド!」
「無理」
即答で却下される。
「迷子になったら困る」と創ちゃんは私の手を握って歩き始めた。