Voice〜彼の声〜



「綺麗だね」


ゆっくり上へと上がっていく観覧車。


夕日が沈みかけで景色が濃いオレンジで反射されている。



「創ちゃんも見てみなよ」


そう言いながら隣に座る創ちゃんの方に振り返る。



「…美嘉、揺らすな」



「………もしかして、高い所苦手?」


「……悪いか」


いつもと違う余裕のない、全然動かない創ちゃんの手を握る。



「創ちゃん、可愛い」


笑いながら創ちゃんを見ると、目が合った。



一瞬、ドキっとした。



思わず目を逸らす。



やっぱり創ちゃんは綺麗な顔立ちをしている。



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