Voice〜彼の声〜



「ちょっと出てきます」


おばちゃんに一言いって、近くにある公園のベンチに腰掛ける。


朝早い時間帯で公園内は静まり返っている。



「…創に逢えた?」


「……うん、泣いちゃったけど」


「そっか…」


そう言って遠くを見つめる。



「…山下は?」


「俺はこの後に行こうかと」


「創ちゃん、喜ぶよ」


そして沈黙が続く。



しばらくして山下が口を開く。



「…佳祐に創のこと聞かれた」


「うん…」


「香坂の"彼氏だった"って教えた」


「うん…」


山下も私も俯いたまま。



時間だけがゆっくり過ぎていく。



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