Voice〜彼の声〜
「創ちゃん、大丈夫?」
「大丈夫だよ。こんなのただのかすり傷だから」
「でもたくさん血出てるよ」
体育祭の最中にこけた彼を心配し保健室にかけつけた私は、怪我をした彼よりも慌てていた。
創ちゃんはいつも落ち着いていて、私なんかと違って大人だった。
「先生どこ行ったのかな」
「消毒して」
「私がするの?」
驚く私を余所に創ちゃんは消毒液と絆創膏の準備をし始めた。
傷口に消毒をすると創ちゃんの「痛っ」と言う小さな声が漏れた。
手当てをし終わると「ありがと」と呟き保健室を出ていこうとする。