Voice〜彼の声〜



目を覚まし、窓の外を見ると真っ暗になっていた。


重たい身体を起こし、リビングに向かうと明かりが点いていた。



「…目、覚めた?」


「うん…」


お母さんがキッチンで夕ご飯の準備をしていた。


お父さんはまだ仕事だろう。



「創くんに会えた?」


「…逢えたよ」


"創くん"って呼ぶお母さんに違和感を感じつつも、私はお母さんに抱き着く。



「…お母さん、私、新しい恋してみる」


そう言うとお母さんは微笑み、私を優しく抱きしめてくれた。



ごめんね、泣き虫で。


いつも何も言わないで、私をただ優しく見守ってくれてる。



そんなお母さんの優しさが温かくて、涙が溢れる。



< 130 / 337 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop