Voice〜彼の声〜
目を覚まし、窓の外を見ると真っ暗になっていた。
重たい身体を起こし、リビングに向かうと明かりが点いていた。
「…目、覚めた?」
「うん…」
お母さんがキッチンで夕ご飯の準備をしていた。
お父さんはまだ仕事だろう。
「創くんに会えた?」
「…逢えたよ」
"創くん"って呼ぶお母さんに違和感を感じつつも、私はお母さんに抱き着く。
「…お母さん、私、新しい恋してみる」
そう言うとお母さんは微笑み、私を優しく抱きしめてくれた。
ごめんね、泣き虫で。
いつも何も言わないで、私をただ優しく見守ってくれてる。
そんなお母さんの優しさが温かくて、涙が溢れる。