Voice〜彼の声〜
「お〜」
私達に気が付いた榊は笑いながらやって来た。
「はよ〜」
山下が挨拶し、榊の肩に腕を回す。
「…おはよ」
「おぅ」
何故だか照れてしまい、声が小さくなる。
そんな私に榊ははにかんだ笑顔を見せる。
変な緊張感がある。
「榊、良かったね」
意地悪な笑みを浮かべる愛美に榊は「うっせぇよ」って言いながら、教室へと入って行った。
「あいつ照れてるな」
笑いを堪えるようにして、山下は自分の教室へと戻って行った。
「美嘉、良かったね」
「…うん」
座席に戻り席に着く。
榊は何も聞いてこない。
創ちゃんのことも。
どうして創ちゃんの家にいたのかも。
私が話すまで待っていてくれてる。
そんな気がする。