Voice〜彼の声〜
学校を出たところで空を見上げると、星が小さく光っていた。
高校二年最後の期末テストがもうすぐ行われる。
「香坂…」
「ん?」
空から隣を歩く榊に目を向ける。
「…手ぇ繋ぎたい」
寒さではなく恥ずかしさで耳を赤くする榊に私は笑ってしまう。
「笑うなよ」
そう言って頭をくしゃっと触られる。
私は手を差し出す榊の手を握った。
「…手ぇ冷たい」
「寒いからね」
俺が待たせたからだと言って榊は謝った。
そんな榊の手を力を込めて握り返した。
創ちゃんとは違う、大きな手。
温かさが安心する。