Voice〜彼の声〜
周りの温かさ
「お花見したいね」
校庭に立つ大きな桜の木の下でお弁当を食べながら、皆で時間を過ごすことが当たり前になってきていた。
春の涼しい風でふわっと桜が舞い散る。
「橘は花より団子って感じだけどな」
口を大きく開けて笑う榊。
愛美は軽く榊を睨み返し、私にひっついてきた。
「いいよ、美嘉と二人でお花見するから」
ねっ?と私の顔を覗いてくる。
私は困った顔で笑う。
「冗談だろっ…」
焦って牛乳パックのストローから口を離す榊。
「佳祐、からかわれすぎだし」
山下は隣で手を叩きながら大声で笑う。