Voice〜彼の声〜
「ちょっと待って」
慌て消毒液と絆創膏を元の棚に戻す。
創ちゃんはドアの前で黙って待ってくれている。
行動の遅い私に呆れることもなく、ペースを合わしてくれる。
「ごめん、行こう」
慌ただしい私を見て、創ちゃんはいつも優しく笑いかけてくれる。
彼の笑顔は滅多に見れないぐらい、あまり笑わない。
「創ちゃん、創ちゃんの笑った顔、可愛いよ」
「…………ばか?」
「何で?可愛いって言われて嬉しくないの?」
「男が可愛いなんて言われて喜ぶかよ」
「でも創ちゃんの笑顔は可愛いよ?あ、でも普段の創ちゃんは格好いいよ」
「…………」
創ちゃんは話し続ける私から目を逸らし黙り込んだ。
いつも照れると黙り込む。
そんな彼の姿は更に私には可愛く思えた。