Voice〜彼の声〜
動き出した恋心
もうすぐゴールデンウイーク。
連休が始まろうとしている。
教室ではどこに遊びに行くかの話題で盛り上がっていた。
そんな中、私は肘をつきながら、窓際の席から、ゆっくり雲が流れるのを眺めていた。
「香坂!」
突然、廊下から名前を呼ばれ振り向く。
「どうしたの?」
廊下に出て、キョトンとした表情で榊を見上げる。
「今日、一緒に帰ろ」
「部活は?」
「休みになった」
ニコッと子供のような笑顔になる榊に、一瞬ドキっとしてしまう。
「どうした?」
固まる私の顔を覗き込んでくる。