Voice〜彼の声〜



「それは恋だね」


ズバっと言い放つ愛美に気持ち良さを感じるぐらいだ。



「やっぱりそうなのかな?」


昼休み、久しぶりに二人でお弁当を食べたいと愛美を連れ出し、体育館裏でお弁当を食べる。



「ドキドキするんでしょ?」


「…う、うん」


熱を帯びてくる顔を見て、「顔、赤いよ」って笑う。



「でも美嘉の場合、もう榊と付き合ってんだからいいじゃん」


そうなんだけど…。


でも自覚すると恥ずかしくなってくる。



「榊に伝えたら?」


「……榊に?」


「あいつ、まだ片想いだと思ってるんじゃないかな?」



片想い…。


確かに榊には好きって言われたけど、私は創ちゃんが好きで。


でも今は榊も好きで。



「黒崎くんのこと、忘れられるいい機会なんだと思うよ?」



創ちゃんを忘れる…いい機会?


本当にそうなのかな。



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