Voice〜彼の声〜
下駄箱で待つこと五分。
榊は走って近付いてきた。
「ごめん、遅れて」
「ううん、私も今来たとこだし大丈夫」
そう言って小さく笑う。
「じゃあ行こう」
榊は歩き出し、私は少し斜め後ろを歩いて帰る。
体育の先生が怒った、同じクラスの男子が面白いとか楽しそうに話す榊をただぼんやりと見ていた。
「…俺ばっか話してるけど、大丈夫?」
「えっ?うん…」
意識が引き戻され、顔を覗き込む榊と目が合う。