Voice〜彼の声〜
創ちゃんの元へ
連休に入る前に私は愛美と山下に、創ちゃんの話をすることにしたと報告した。
二人はただ優しく頷くだけだった。
そして連休最終日、榊は夕方まで部活だっため、学校の校門で待ち合わせしていた。
「香坂」
声をかけられ振り向く。
「部活、お疲れ」
「あぁ」
そう言って歩き始める。
春の温かな風が吹いて心地好い。
「…どこ行くの?」
私について歩く榊は不思議な表情である。
私は立ち止まって、真剣な眼差しで榊の目を見る。
「………創ちゃ、黒崎くんのとこ」
そう言うと一瞬、榊の表情は固まり、少し置いて「分かった」と小さい声で呟くように言った。
それから創ちゃんの所までお互いに無言で歩き続けた。