Voice〜彼の声〜
小さな丘を登ると夕焼けが綺麗に沈み始めていた。
「キレ〜…」
感嘆する声を上げる私とは反対に、榊の表情は驚きを浮かべていた。
「創ちゃん、逢いにきたよ」
私は創ちゃんの前でしゃがみ込み、優しく笑いかける。
そんな私を榊は困惑した表情で見ながら、黙って立っている。
「…榊、驚いた顔してる」
「えっ、いや…」
私の声で我に返った感じの榊に言葉を続ける。
「…当たり前だよね」
そう言って力無く笑った。
創ちゃん。
この人が新しい恋をしようと思っている人だよ。
どう思う?