Voice〜彼の声〜
第6章
香坂への興味
俺の目の前に広がった光景は、想像していたものとは違っていた。
香坂に「一緒に来てほしいとこがある」と言われた時から、どこか落ち着かなかった。
香坂を知ったのは高校入学してしばらくしてからだった。
その頃、俺は同じバスケ部の友達のクラスによく遊びに行っていた。
「な〜、お前の隣の席、よく空いてね?」
友達のその空いてる隣の席に腰かけながら、机に肘をつき話す。
「あぁ…なんかたまにしか来ない」
ちらっと目を俺に向けながら言う。
「なんで?」
「知るかよ」
面倒臭そうな態度をされ、俺は質問するのを止めた。
でも何故だか、そのたまにしか来ないって女の子に会いたくなってしまった。