Voice〜彼の声〜
「………誰か泣いてる?」
ドアを静かに閉め、足音を立てないように忍び足で声のする方へ運ぶ。
そこには泣き崩れている彼女がいた。
何故泣いてるのか分からないけど、涙を流している。
俺は気付かれないように壁に隠れ、彼女の様子を伺っていた。
「…っ逢いたいよ〜…」
そう言って涙を零す彼女の顔は切なくて、綺麗だと思った。
俺は声をかけることが出来ずに、ただ泣き声を聞いていた。
その泣き顔を最後に、彼女は笑顔を見せ、毎日のように学校に来るようになっていた。