Voice〜彼の声〜
二年のクラス替えで、俺は彼女と同じクラスになり、座席が近くなった。
「俺、榊佳祐。名前なんて言うの?」
同じクラスになれたのが嬉しくて、何も考えずに声をかけたら、アホみたいな話し掛け方になっていた。
「……香坂、美嘉」
ちょっとの間を置いて、彼女は名前を教えてくれた。
初めて見た時の印象はなくなっていて、気付けば仲良くなっていた。
香坂と一緒にいること。
香坂の笑顔。
それが俺の中で次第に大きくなっていった。