Voice〜彼の声〜
縮めたい距離
「榊、美嘉のこと好きでしょ?」
「なんだよ急に…」
掃除の時間、橘が意地悪な笑みを浮かべ話し掛けてきた。
「来週の日直、私だけど美嘉と変わってあげようか」
「マジ?」と言った後に気付く。
俺、好きって認めちゃってんじゃん。
「ただし条件があるの」
「…条件?」
「美嘉がどんなにあんたを拒んでも、絶対に引き下がらないで」
真剣な口調で言う橘に俺はただ「…あぁ」と頷くしか出来なかった。
その言葉の意味を俺は分かっていなかった。