Voice〜彼の声〜
「俺、字が下手だから日誌書いてくれる?」
声をかけると香坂は「へっ?」というような表情を浮かべた。
恐らく日直になったことを聞いてなかったんだろう。
俺はもっと香坂に近付きたくて、遊びに誘うことが多かったが、どれも相手にされずにいた。
授業中の香坂は窓から外…というか空を眺めていることが多く、俺はそんな香坂を眺めていた。
授業が終わり、黒板を消す香坂の背後から声をかける。
「香坂は背が低いんだから、俺がするよ」
香坂は一瞬ビクッとし、凄い勢いで振り返った。
「黒板お願い」
そう言って教室から出ていこうとする。
「おい、顔色…」
顔色悪いと伝える前に、香坂は俺の目の前で倒れた。