Voice〜彼の声〜
保健室に運ばれた香坂を、俺は途中で自販機でジュースを買い、様子を見に行った。
保健室に入ると香坂と橘の話し声が聞こえてくる。
俺の名前が出てきて、反応してしまう。
「俺がどうかした?」
カーテンを開け、香坂と目が合ったかと思うと、口を閉じた。
この日から香坂は俺を避けるようになった。
「榊、部活あるでしょ?だから、日直の仕事は私がしとくからいいよ」
「えっ、でも」
黒板を消そうとしていた俺に話し掛けてきた香坂。
他の日直の仕事も役に立ってないのに。
つーか一緒にいたいんだけど。
とも言うわけにはいかず。
「本当いいから」
そう言うと自分の座席へと戻っていく。
俺はそんな香坂をぼんやり眺め、黒板を消し終わると部活へと向かった。