Voice〜彼の声〜
俺は告白したものの、香坂から返事を聞くことはしなかった。
お互いが避けてる感じになっているのかも。
だから下駄箱で香坂を見かけた時、嬉しくなった。
「傘、忘れたの?」
「…………うん」
下校時間、急な激しい雨が降り始め、香坂は傘を忘れたらしい。
「家まで送ろうか?」
「えっ、大丈夫だよ。濡れても平気だから」
なんとかして俺から逃げようとするのが分かる。
「つーか送らせて」
香坂の腕を掴まえて、それを阻止する。
俺の顔は照れて赤くなっているだろう。
香坂は躊躇いながらも「ありがとう」と言った。