Voice〜彼の声〜
屋上に出ると青空が晴れ渡っていて、気持ちいい風が吹き抜けていた。
背筋を伸ばし、大きな深呼吸をする。
「いい天気だな」
そう言う俺に香坂は困惑した表情を浮かべる。
「………何か用?」
俺がフェンスにもたれるように座ると、香坂も少し距離を空けて隣に座った。
「昨日はごめん」
ちょっと言い過ぎたと反省。
「………私の方こそごめんね」
また謝る…。
謝ってほしいわけじゃない。
「……香坂が俺の気持ちに応えられないのは分かったからさ、もう諦めるつもりだから。だから、その代わりってわけじゃないんだけど、香坂の好きな奴の話教えてよ」
本当は諦めてないけど。
好きなやつがどんなやつか知りたい。
「…………嫌だ」
あっさり拒否される。
「どうして?それぐらい聞いてもいいと思うんだけど」
少しキレた感じで言って、香坂を見る。