Voice〜彼の声〜
「…………中学の同級生」
中学一緒だったやつか。
「名前は?」
「……創…黒崎…創」
クロサキソウね…。
この学校のやつではないな。
「どこの高校?」
友達と一緒かも。
「………もういいじゃん」
「香坂?」
呟くように言われ、俺は聞き返す。
「…ばないで」
「えっ?」
「呼ばないで…私の名前を呼ばないで!榊の声も聞きたくない」
俺は一瞬、固まった。
泣いて屋上を出ていく香坂の後ろ姿を見ながら、やり過ぎたと後悔する。
声、聞きたくないって言われちゃったよ…。
やべぇ〜…泣きそう。
次の時間に教室に戻ると香坂の姿はなく、俺はずっと机に伏せ落ち込んで過ごした。