Voice〜彼の声〜
「一つ聞いていい?」
「なに?」
「お前は香坂が黒崎ってやつ好きなの知ってるのに、どうして俺を勧めんの?黒崎ってやつは香坂のこと、もうなんとも思ってねぇの?」
俺の質問に隆は少し間を空け、重い口調で言う。
「……創は香坂の側にいてやれねぇから」
そう答えると俺から視線を外し違う方向を見る隆。
その視線の先には香坂がいた。
「香坂!遅ぇよ」
「…ごめん」
久しぶりに香坂の姿を見て緊張しだす。
どうする。
「おっす…」
とりあえず目が合ったから挨拶をする。
「…うん」
お互いに気まずい空気が流れる。
そんな俺達を残し、隆は「ちゃんと話し合うんだぞ」と困ったように笑いながら、その場を後にした。
それから俺たちは少しだけ話し、付き合うことになった。