Voice〜彼の声〜
「愛美、創ちゃんの声って覚えてる?」
「黒崎くんの?う〜ん…なんとなく」
必死に彼の声を思い出そうと記憶を探りながら愛美は「でもどうして?」と聞いてきた。
「似てない?創ちゃんの声と榊の声」
「声?」
「うん。なんだろ、声が少し低くて響く感じ」
「う〜ん…そう言われたら似てる気もするけど」
「普段は思わないんだけど、呟くような声とか笑った時の声が似てる気がして、どうしても創ちゃんを思い出しちゃうの」
「そうなんだ。でも美嘉の気持ちも分かるけど、何も知らない榊は可哀相だよ」
それは私だって分かってる。
でも創ちゃんのこと思い出すと涙が出てくるんだもん。
だから榊とはあまり一緒にいたくない。